Memoria de los Libros Preciosos

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イアン・アーシー『怪しい日本語教室』  ★★★★☆

怪しい日本語研究室
怪しい日本語研究室
イアン アーシー, Iain Arthy
 古今東西を通じて、日本語ほど煩雑な表記法があれば会ってみたいぐらい。変な文字と言えば、古代エジプトヒエログリフを連想する人が多いだろう。男女、鳥や爬虫類に、ばらばら死体を彷彿とさせる目、手や足など、様々なマンガチックな絵を無造作に混ぜ合わせたみたいな文面で、とても読めたもんとは思えない。しかしおびただしい数に見えても、ヒエログリフの総数は、平均的な漢和辞典に載っている漢字よりかなり少ないらしい。
 じゃ、そこまで言うなら中国語はどうだい。
 確かに、仮名に当たるものはなくて、漢字のかたまりで複雑そうだ。でも、漢字一つに読み一つが基本。もちろん多少の例外はあるが。それと比べて日本語は……

 うわー面白い!! ありきたりな表現だけど、日本語の面白さを再発見って感じ! 本書は軽い読み物という風体ですが、もっと深く学問的に語ってほしいなあ。
 社長の挨拶文雛形には笑わせていただきました。いつか偉い人になったら参考にするよ(笑)役人言葉も難しく聞こえるけど、あの表があれば読み解きが簡単ですね。党や省についての話、日本人なのに私は全然考えたことがありませんでした。
 日本語がかつて横書きで右→左に書かれてたのは、縦書きにのっとったからじゃないんですかね。縦書きを一文字ずつにしてったらそうなったっていう。
 ヒエログリフマヤ文字が日本語と似てる、ってのも驚きだったりして。それにしても表記法に無駄の多い日本語が大好きです。ルビを振ったら読み方は無限だし、同じ意味でも色んな漢字があってニュアンスが微妙に違うし、人称代名詞はときめきだし(笑)逆にハングル文字は世界一効率的な文字と言われるくらいらしいですね。確かに、あれは覚えれば読めるもんなあ。日本語を読めるようになるのは大変だろう。