Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

クラウス・コルドン『ベルリン1919』  ★★★★

ベルリン1919
ベルリン1919
クラウス コルドン, Klaus Kordon, 酒寄 進一
 終盤は泣いちゃったよ……。“子どもの本を読む会”なんていうサークル活動をしている母は児童文学を中心に読んでいるので守備範囲が異なるんだけど、そのおかげで自分では目をつけない本とも出会えて面白いです。
 第一次世界大戦末期の冬。帝政が崩壊したドイツに平和は訪れるのか? 少年ヘレの一家をおそう激動の日々。ドイツ文学界の巨星がベルリンを舞台に20世紀激動の時代を描き、戦争と平和を現代に問う大河小説3部作の第1部。(Amazon
 日本に生まれると第二次世界大戦での大敗(特に原爆)があるので、戦争の悲惨さに触れる機会は多いんじゃないかと思う。映画「火垂るの墓」や、こうの史代の漫画「夕凪の街 桜の国」などを見ると、無条件で泣きます。これは戦争の苦しみに加えて、日本人としての意識とかが関わってるんじゃないかしら。舞台は他でもない日本なんだもの。感情移入は容易い。
 でも、やっぱりどこの国でも、戦争がもたらす苦しみは耐えがたいものなんだよね。食べるものがない。色んなものが不足してる。夫や父が戦場に連れてかれてしまう。住んでいるところが戦場じゃなくても、ひたすら苦労するんです。一部の資産家には金が入ってくるのに。彼らが馴染みのない生活(ベッドがないと寝る場所に困るとか(笑)日本だと畳と布団でどこでも寝られる)をしていても、わかります。
 主人公ヘレの両親や周りの人たちは、戦争を終わらせるために革命を起こす。暴力を暴力でもって終わらせないとどうにもならないことがある。だから銃を取る。なのに、必死になって皇帝を追い出して、新しい政府が出来たと思ったら、政権を握るのは前と変わらない人たち。そんなの革命が成功したとは言えない。だから戦うしかない。
 そういうのを子供の視点から見させられるとね、ほんとに辛いんだよ。辛いんだよう~。
 さて、本編とはあまり関係ありませんが、海外の小説読んでると、登場人物があまり謝らない・感謝しないことが気になったりしませんか? 本書でも、ヘレはもっと「ありがとう」って伝えるべきなんじゃないかな~って余計なお世話を焼きたくなります。そんなの記すまでもなく、皆は感謝を表してるのかもしれないけど、気になっちゃうんだよなあ。腰の低い日本人だから?笑