Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

若竹七海『古書店アゼリアの死体』  ★★★☆

古書店アゼリアの死体
古書店アゼリアの死体
若竹 七海

 たとえば、ミステリーの最終章で、真犯人がサディスティックな性格で数々の悲劇の源であり、自分の罪を妻にかぶせようとしていた、という衝撃の事実があきらかになったとする。これがハードボイルドなら探偵が面と向かって犯人を告発、ときには殴り倒す。謎解きミステリだったら関係者一同、凍りついておそろしげに犯人を見るだろう。さて、コージー・ミステリの場合、真相を知らされた関係者の反応は、おおむねこうである。
「なにそれ、ひっどーい!」
 だから私はコージー・ミステリが好きなのだ。(著者のことば)

「……カヤロ……って嘘でしょ。嘘だ。なんで。どうしてよ。どうして海が、海のくせに仕返しなんかすんのよお」
 尻もちをついて、半べそをかきながら、相澤真琴は今までのがただのリハーサルにすぎなかったように、今度こそ本気で、全身全霊をこめて、バカヤローとわめいていた。
 真琴の目の前に打ち上げられたそれは、まぎれもなく、人間の死体だった。


 コージーミステリ! 笑ってしまいます。著者のことばも最高です。殺人が起きても皆が悩んでいても、シリアス気分には浸れないんだけど、ラストの後味はやっぱり若竹さん、かわいい顔してえげつないよ!笑 そこが好き。
 あらゆる不幸を立て続けに体験した相沢真琴は、全てを投げだし、葉崎市の海岸に辿り着いた。ところが、なんと身元不明の死体をみつけてしまう! 所持品から、その死体は葉崎の名門・前田家の失踪中の御曹司・前田秀春である可能性が浮かぶ。しかし、秀春の失踪には、きな臭い背景が……。そんなさなか、ロマンス小説専門の古書店アゼリアを経営する前田紅子と知り合った真琴は、紅子が入院する間、アゼリアの店番を頼まれたのだが……。真琴は次なる死体と遭遇することに! 絶妙な語り口と濃厚なミステリの味付け!芳醇なるコージー・ミステリの絶品、好評書下ろし第二弾。(裏表紙)
 古書店アゼリアの店主である紅子さんがロマンス小説を愛しているので、作中に知らない名前がたくさん出てきた。ちゃんと巻末で解説がついてるの! 有名どころはチェックしておいて、いつか読もうかな(そんなリストが山のように溜まっています)

 

 次なる死体は真知子さまだったわけですが、彼女を殺したのは秘書。そして、自殺未遂騒ぎを起こそうとした秀春を殺したのは、フロントの麻衣。抜けてるしのぶは真知子さまがいなくなってわくわくしてるし。しのぶが秀春を殺したようなものだし、秀春は秀春でしのぶに復讐しようとしてた。……ひー怖いよー。

たんぽぽ娘
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『ねじの回転』
ロザリンド・アッシュ『蛾』
『娘は娘』
ジュリー・ベネット『シスターズ』
『また会う日まで』