Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

佐藤多佳子『一瞬の風になれ 第一部』  ★★★

一瞬の風になれ 第一部  --イチニツイテ--
一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ--
佐藤 多佳子
「俺は、おまえがみっともないのはイヤなんだっ!」
 自分の股間に向かって叫んでいた。
「そういうのは絶対イヤなんだ。俺がみっともないより、もっとイヤなんだっ」
 こんな泣き声でしゃべりたくない。
「逃げるな。一番みっともねえ」
 連は何も言わなかった。

 序章、といったところ。それにしても「胸がキュンとする」なんて地の文で言ってしまう高校生男子はどうなのか?笑 そして超のつくブラコン。そんな新二が本書の主人公。幼馴染兼ライバル役には気紛れな天才・連。いやあ名前が格好良いじゃありませんか。他校にもすごいやつは出てくる。しかし皆いいひと! 佐藤多佳子の小説に出てくるのはいいひとばっかり、というセオリー(?)がありますが、ほんとにいいひと! 占い大好き浦木さんとか良い味出してました。守屋さんはハードボイルドでした。
 主人公である新二の周りには、2人の天才がいる。サッカー選手の兄・健一と、短距離走者の親友・連だ。新二は兄への複雑な想いからサッカーを諦めるが、連の美しい走りに導かれ、スプリンターの道を歩むことになる。夢は、ひとつ。どこまでも速くなること。信じ合える仲間、強力なライバル、気になる異性。神奈川県の高校陸上部を舞台に、新二の新たな挑戦が始まった――。(Amazon
 「あさのあつこの『バッテリー』、森絵都の『DIVE!』と並び称される、極上の青春スポーツ小説」ってあったけど、私は三浦しをん『風が強く吹いている』を猛烈に推します(笑)だってー。大好きなんだもの(笑)こういう小説を読むと、陸上をやってる人たち、箱根に出ちゃうような人たちは中学高校から積み重ねてきたんだってことはよくわかる。ろくに長距離をやったことない人が7人もメンバーにいるのに、箱根に出るなんてありえないとも。それでも風が~は死ぬほど好きなんだよなあ。ここで三浦しをん語りをするなって話ですが。まだ三部読んでないのに。