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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

北乃坂柾雪『匣庭の偶殺魔』  ★★☆

匣庭の偶殺魔
匣庭の偶殺魔
北乃坂 柾雪
「犬猫の尻を追いかけて何が楽しいんだろうねっ? 変態としか思えない。あそうか、探偵って馬鹿じゃなくて変態だったんだなシン。僕に触るなよ!」
「そりゃあ……酷い酷過ぎだよ龍哉。俺が変態の汚名を着せられるのはいいとしても、探偵全てが変態だなんてそんな、理不尽な」

 うわぁやっちゃったよ、というのが直後の感想でした(笑)
 偶然の事故か、それとも確率の犯罪か? ――大学内で連続する奇妙な死。記憶を塗り替えられた蘇生屍、あるいは土人形。己の影に怯え続ける男。嵐の孤島を襲う大虐殺。死にたがりのドッペルゲンガー……。逆十字を愛する美しきマッド・サイエンティスト、奥入瀬竜哉が切り裂く謎のヴェールの向こうには、驚愕の、そして戦慄の真実が……。期待の超大型新人による、精緻で残酷な本格ミステリ。第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞。(裏表紙)
 主な登場人物は自称探偵の正親町慎太郎、眉目秀麗のマッドサイエンティスト奥入瀬龍哉、その二人につきあわされた狭山広樹の三人。正親町のもとに届いた脅迫状とも言えない手紙は、吉良由美子の死を予言していた。彼らが会いに行くと、吉良は事故とも殺人ともつかない死に方をして……というような話。京極夏彦の妖怪シリーズにあてはめると、正親町=榎木津、奥入瀬京極堂+榎木津、狭山=関口、御炊くん=和寅みたいな感じ。
 台詞部分なんてかなりくだけているので読みやすいっちゃ読みやすいかな? 冒頭のノリのよさとは裏腹に、段々と怪しくなる雲行き。ラストはまさにマッド!笑 麻耶雄嵩みたいなとこがあるなあ。作者は他の本書いてないみたいだけど、次があったら読みたい。