Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

吉村萬壱『ハリガネムシ』  ★☆

ハリガネムシ
ハリガネムシ
吉村 萬壱
 こういう事がしてみたかったのだと、この時初めて気付いた。人間の肉体を思い通りに切り刻みたいという欲望を、ハリガネムシのように体の中に飼っていたらしい。

 途中のグロ描写が私の嫌なツボに入り、一度断念しかけた。漫画ならいくらグロくても大丈夫なんだけど、本は……特に一人称で主人公が痛いことになるのと、自傷行為は死ぬほど苦手で。感情移入しすぎるきらいがあるので、自分まで血を流しているかのような感覚に陥ってしまう。だから乙一『暗黒童話』なんかはふらふらしながら読んでた。
 サチコ、底辺を這いずる痩せた、小さな女。手首に無数のためらい傷を抱えて。その女を知って、高校教師の内のハリガネムシが動きだす。血を流し、堕ちた果てに……。身の内に潜む「悪」を描き切った驚愕・衝撃の芥川賞受賞作。人間存在の奥の奥を見据えて、おぞましくも深い感動を呼び起こす。(Amazon
 WEB本の雑誌で評価されていたので借りたんだけど、芥川賞受賞作ってのは今知った。ですよねー。芥川って感じするわ。いつだって理解できない。文学って……!
 実際何なんだかよくわかんなかったんだよね。性欲とかサディスティック(というより残虐なだけ?)な欲望とか気持ち悪さは嫌ってほど伝わってきたんだけどさ。ここまで気分悪くさせるのは才能か。主人公、よく勃起するし自涜行為に励むし面白い(笑)
 本とは全く関係ないけどマスターベーションのことを自涜行為や自慰行為っていう日本語が好きだな。聖書で膣外射精をしたオナンを語源とするオナニーよりも、何となく慈しんであげたい気分にならない? なりませんか。