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Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

武者小路実篤『友情』  ★★☆

友情
友情
武者小路 実篤
「恋はあつかましくなければできないものだよ」
「ほんとうの恋はあつかましいものにはできない」
「ともかく恋も一種の征服だからね」
「僕だって君の位置にいれば、きっと積極的に出ろと言うかもしれないがね。あつかましく出る人がいるとなお引っこみたくなるよ」
「まあ僕に任せておきたまえ。君にまかせておくのは心配だ」
 大宮は笑った。
「しかしそこが君のいい所さ」と慰めるのか、からかうのかわからないようにつけ加えた。

 某ブックガイドに載っていたので、薄かったこともあり借りてみた。命台詞目白押しですな!
 主人公野島とその親友大宮における友情と恋愛の相剋――青春のあらゆる問題がこのテーマを中心に展開される、武者小路実篤の数多い作品の中でも、とりわけ多くの若い読者に愛読されてきた永遠の青春小説。(Amazon
 関係性オタク(by三浦しをん)にとってはたまらない一冊だわ! 野島と大宮の関係が。杉子を理想化して、彼女と一緒になれないなら生きてる価値がないってほどに思いつめる野島。ストーカー気質あるけど(笑)純粋さゆえでしょう。それを好意的に解釈するには、この三角関係に巻き込まれていない必要があるけどね。そんな野島の恋をどこまでも応援してあげる大宮。二人の互いの描写は友情なんて言葉でくくっていいのやら、ってほどに熱い。
 それにしても、大宮がいい男すぎてびっくりした。そりゃあ大宮の方がいいでしょうよ! 大宮はすべてを持っているんですもの! 金も頭も心も運動神経も外見も……あまつさえ友達のために自分の想いをなかったものにしてしまおうとするくらいだ。ちょっと考えられないパーフェクトさ。大宮が野島を立てようとする度に深く恋に堕ちるでしょうよ。でも野島にはかばってあげたくなるかわいさがあるよね(笑)ちょっと大宮の気持ちもわかる。
 ラストの二人の手紙のやりとりでは全身全霊を傾けて恋をしたいと思ってしまいました。どうしてもっと頭のいい読み方ができないんだ私は。
 まあこれでハッピーエンドなのではなかろうか。私も野島の復活を信じてるよ! さあ文藝界で活躍したまえよ! 皆そのねちっこさの虜さ!