米澤穂信『ボトルネック』 ★★★
ボトルネック
米澤 穂信
ぼくも、ぼくなりに生きていた。別にいい加減に生きてるつもりはなかった。しかし、何もかもを受け入れるよう努めたことが、何もしなかったことが、こうも何もかもを取り返しがつかなくするなんて。
苦っ!! 米澤といえばほろ苦さ、という公式が出来上がっていたけれどこれはとっても苦いや。今までで最高ではなかろうか。しかも自分に覚えのあるような感情ゆえ、なおさら苦く感じられたんだよね。
恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。――はずだった。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。(カバー折り返し)
「僕の産まれなかった世界」って! ああもう! それだけでつらいから!笑
「羨ましいんだよ」
このままあんまたのそばにいれば、ぼくはいつか、あなたのために起きた不幸の一つ一つに手を打って喜ぶようになる。
そうでなければ、あなたを羨むあまり、あなたを崇めあなたの言うこと全てに従う愚か者に。……それとも、もう既に。
ぎゃー痛い! 突き刺さるな!