Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

司馬遼太郎『燃えよ剣』  ★★★★

燃えよ剣 (上巻)
燃えよ剣 (上巻)
司馬 遼太郎
「副長が、隊士の人気を気にしてご機嫌とりをはじめるときさ。副長が、山南や伊東(甲子太郎)みたいにいい子になりたがると、にがい命令は近藤の口から出る。自然憎しみや毀誉褒貶は近藤へゆく。近藤は隊士の信をうしなう。隊はばらばらさ」
「ああ」
 沖田は、素直にあやまった。
「私がうかつでした。土方さんが、そんなに憎まれっ子になるために苦労なさっているとは知らなかったなあ」

 新撰組がこれほど愛され、熱烈なファンが多いわけがよくわかる。今更ながら手をつけてみた。信じられないほど土方が格好よくてもんどりうちました。これは、反則だ。本書は特に土方を格好よく書いている本だと知っていても、やはり、打ちのめされた。抱いてください(笑)格好いいだけじゃなく、俳句や雪の場面で時折かわいさを覗かせるのがたまらん。この世の女を虜にさせるために生まれてきたとしか思えません。
 幕末の動乱期を真選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑なな生涯を描く。武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上りの寄せ集めにすいなかった新撰組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。(裏表紙)
 日本史はさっぱりわからないのだけど、新撰組といったら誰でも知ってる幕末期のヒーロー(?)である。佐幕派・攘夷派とか、ほんとにわからないんだよなあ困った。通して読んで少しでも理解できればいいと思う。
 ジャンプで連載されてる「銀魂」、何年か前大河でやった三谷幸喜監督の「新撰組」、フラワーズに連載中の「風光る」、あと途中で終わったのだか完結していない「PEACE MAKER」。そこらへんが私の触れてきた新撰組。私はどんな新撰組関連のものを見ても土方と沖田のファンなんだけど、『燃えよ剣』ほど男前な土方さんは見たことない。憎まれっ子世にはばかりましたね土方さん……!笑 沖田はいつだって土方さんを「可愛い」と言えるたった一人なんだろうか。「うふ」とか笑い出した日にはどうしてやろうかと思った。
 新撰組結成当初にはがっちりと信頼しあっていた近藤と土方二人の心が、段々と離れていく様を見ているのは本当に辛い。この本を読んでるとどうしても、近藤さん調子乗ってんじゃないの? と、土方サイドについてしまいます。土方は新撰組を大きくさせることしか考えてない。単純で、それゆえに強い。