Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

とみなが貴和『EDGE』  ★★★

EDGE(エッジ)
EDGE(エッジ)
とみなが 貴和

「わたしのアドバイスを受けて捜査をし、犯人を捕まえるのは警察の仕事です。さらに言うなら、実際の犯罪において、わたしが今のようなアドバイスをするために、犯人の遺留物や痕跡を探して提示してもらうのも警察の仕事です。わたしの仕事は捜査官なくしては成り立ちませんし、警察の方が効率的な捜査をするための情報提供が、プロファイリングの目的なのです」


 他市から取り寄せてもらった。内容を全く知らないまま読んだので私も松並と同じ感想を抱きました。そう言われるとそうにしか見えないんだけど。
 私には、犯人が見える──! プロファイリング──それは、犯行現場に残された遺留品や犯行手口そのものなどから犯人像を特定していく捜査方法である。世紀末の東京。超高層建造物ばかりを狙った連続爆破事件が、世間を震撼させていた。「黄昏の爆弾魔(ラグナロク・ボマー)」と名付けられた犯人の狙いはなにか!?手がかりのつかめぬまま、警察はある民間の心理捜査官(プロファイラー)に協力を要請した。若き美貌の天才心理捜査官・大滝錬摩登場。(カバー折り返し)
 ホワイトハート十二国記とこれしか読んだことがないんだけど、他の本もこんなに本格的なんでしょうか。少女小説のレーベルって恋愛ばっかりに見えるからどうしても避けてしまう。本書はミステリというかサスペンスというか、事件が起こってそれを解決するのが主な軸になっている。結構ハードボイルドです(笑)錬摩は考えるだけでなく歩き回って解決の鍵を掴もうとするし、最後は直接対決しちゃうし。
 そして、プロファイラーの錬摩と、銃弾によって幼児退行してしまった藤崎宗一郎との関係が見ものです。内藤医師の説教が身に染みる。これから二人はどうなっていくのだろうか。互いがいなくなったら崩壊してしまうのではと思わせる危うさ。 
 犯人の心理描写が丁寧で、つい同情したくなる。建造物破壊は立派な罪ですけど、ね……。

 

 女だったのかー!
 麗しの美青年だとばかり……おいしい設定だと思ってた(笑)表紙の唇がやけに赤いのはそういうわけか。

「お前、今のおれのこと『宗一郎』って呼んでるのか」
「ああ」
 錬摩の答えに、藤崎はじわりと少年のような照れ笑いを浮かべた。
「そうか」
 しまりのない顔をごまかすように、藤崎はぐるぐると肩を回してみたりした。


 くうっ 藤崎がいい男すぎて錬摩の気持ちもわかります。もう二度と戻らない藤崎。折り合いをつけるのは大変だろうなあ。