Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

本田孝好他『LOVE or LIKE』  ★★★

LOVE or LIKE
LOVE or LIKE

「ぜってえ死んでない」
 ぜってえ死んでないさ、と僕も言った。
 死んでるわけじゃいよ、と黒崎も言った。
「そうだよね」と彼女が笑い、「そうだよ」と僕らも笑った。(DEAR)

石田 衣良, 中村 航, 本多 孝好, 真伏 修三, 中田 永一, 山本 幸久
 個々の話に差がありすぎて全体の評価が難しい。中田・中村・本田のお三方はとてもうまく、石田・真伏・山本の三人はいまいち。てか面白くはない。
 リアルラブ?(石田衣良):バイトが一緒のカナコとヤスはセフレ。カナコはバイト先のチーフに、ヤスはたまに来る有閑マダムにそれぞれ片思いしている。
 なみうちぎわ(中田永一):水難事故により植物状態にあった姫子は五年ぶりに目を覚ました。五年前、彼女は灰谷小太郎という小学生の家庭教師をしていた。
 ハミングライフ中村航):私は昼休み、公園でごはんを食べる。ある日、トランペットの音色が聞こえてきて、そっちの方に近づいてみると、皿と猫がいた。
 DEAR(本田孝好):二十歳の同窓会。僕と舟木と黒崎は、六年生時に転校してきた笹山はるかのことを好きだった。彼女はとてもかわいかったが……。
 わかれ道(真伏修三):
 ネコ・ノ・デコ(山本幸久):
 石田衣良は友情のセックスってものを描いてるのか何なのか、前アンソロジーではクサイけどうまくまとめていたのに、今回はよくない。セックスしてればいいじゃない。
 なみうちぎわ、ベタな会話がすごくいい! 二人の掛け合いがたまらない。私も相当ベタな感性の持ち主。イメージカラーはピンクで。実際あったら怖い話なのに(笑)さざ波の音が聞こえてきたりなんかして、のんびりでよかった。乙一なのかな? もしそうなら、平仮名が多かったから、『銃とチョコレート』効果かしらんと思った。囲碁ブームって! 私もヒカルの碁は大好きです……。
 ハミングライフ、これもまたウロレターのやりとりがたまらない! 挿絵もかわいい。私もこんな恋はじめたいナンバーワンです。ほんとにまあ! だよ。照れるわ。読者を幸せにする話だね。
 本多さーんこんな素敵な小説書くんだから、早く、新刊を……! ひと夏の青春グラフィティー12歳。彼女の行く末はほろ苦いけど、好き! あの三人がいいですよね。これもまたベタな人物設定だけどさ(笑)
 わかれ道、結局最後はくっつくのかしら。実際腰まで髪の長い女転校生なんていませんよね。私はなぜ新川が主人公を好きになったかがさっぱりわからないけれど、かわいらしい話ではあったかな。
 山本幸久、『幸福ロケット』はあんなによかったのになあ! この話が果たして恋愛小説なのか、ラブとライクの違いをテーマにしたものなのか、私は両方とも否定したいところです。一人で頑張る働く女性、じゃないんか。

 

「その子よ! あなたに気があるのよ! どうして気づかないの!」
「たしかにその後輩はよく話しかけてくるし、いつも俺のほうをぼんやり見てる。でも、かたおもいだなんて考えすぎだと思うよ」
「そうかなあ」
「そいつの財布に俺の写真がなぜかはいってたけど、ただの偶然だって言ってたし」
「偶然じゃないよ! すごい確率だよ! ぜったいあやしいって!」
(中略)
「それはおとめごころなんだよ! いやがらせじゃないんだよ!」(なみうちぎわ)

 ――はい。ただ、もしかしたら告白とかするかもしれないので、あまり緊張しない感じの店がいいです。
 ――ええーっ! 告白ですか? 告白しちゃうんですか?

 ――そのころ私たちが疎遠になっていても入れておいてくださいね。
 ――わかりました。でも疎遠になりたくないです。好きなので。(ウロレター)

 明日、私はいなくなります。明日から、もうあなたと会えなくなる。そう考えただけで泣いちゃいました。あなたのことを思って何度もないちゃいました。でも、それも今日までです。明日からは、笑うためにあなたのことを思い出します。学校中からいじめられたって、町中から無視されたって、私はあなたのことを思い出しながら、笑って生きていきます。だから、どうか元気でいてね。いつか、またきっと会えるから。(DEAR)


 打ちのめされちゃう。好きだなあ。