Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

小川一水『こちら、郵政省特別配達課』  ★★☆

こちら、郵政省特別配達課!
こちら、郵政省特別配達課!
小川 一水
「届けるものはお客の心。飛ばせなくても飛べなくっても、決して文句は言いません――だろ?」

 ラノベだ!笑 これぞラノベという本だった!
 「素早くお届けします。どんな物でもどこへでも。ただし切手が貼れる物」。かつて、今は亡き郵政省が宅配便相手に本気を出したことがある。好評既刊文庫2冊を合本。あのトッパイ伝説のすべてが明らかにされる。(Amazon
 郵政省に転属になった八橋鳳一。エリートの仲間入りを果たしたと喜ぶが、彼の新たな職場は特別配達課であった。直属の上司・桜田美鳥は配達となると恐ろしいスピード狂と化してカウンタックを爆走させるし、課長の和光は飄々としていてとらえどころがない。運ぶものは家に馬に宇宙への手紙、挙句の果てには……。後半はそんな特配課が存続の危機にさらされ、鳳一と美鳥、同僚達は日本全国を機械相手に奔走することに。
 勢いがある。実際、車やらトラックやらをものすごい飛ばすんだけどね! ヒロインの方が突っ走り気味で、ヒーローはフォローしたり打開策を提示したり。表紙絵のイメージが強くって(笑)脳内ではアニメ化されていました。文庫の時はもっと挿絵多かったのかなー。全部見たかった。
 カーレースやその他専門的な場面は飽きちゃったけど、配達に賭ける情熱が伝わってきたからまあいいか。水無川のエピソードではちょっと涙出たし。配達って物だけじゃなくて心を運ぶんだね。段々話が大きくなっていくのはさすが小川さん。水無川はもちろん隠居した老人とか、『大六大陸』に通じる登場人物ですね。
 二人のラブコメもおさまるとこにおさまって……まあわかってたよ。お幸せに!
 でも、小川一水の本はSFの方が好きかも。これからも追いかけます。