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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

若竹七海『クール・キャンデー』  ★★★★

クール・キャンデー
クール・キャンデー
若竹 七海

「だいだい、どうだいなしなのよ。あんたの家族は誰か自殺した? あんたの家族は殺人犯だって疑われてる? 悪い噂いっぱいたてられた? 友達だって思ってたひとが、親切ごかしにその噂わざわざ教えてくれた? 痴漢に突き飛ばされた? そいうでコブ作った? 親友が遠くに行ってて連絡もとれない?(以下略)」


 これぞ若竹七海の真髄! うわあ大好き!
 「兄貴は無実だ。あたしが証明してやる!」誕生日と夏休みの初日を明日に控え、胸弾ませていた中学生の渚。だが、愉しみは儚く消えた。ストーカ(田所)ーに襲われ重態だった兄嫁(柚子)が他界し、さらに、同時刻にそのストーカーも変死したのだ。しかも、警察は動機充分の兄良輔を殺人犯として疑っている! はたして兄のアリバイは? 渚は人生最悪のシーズンを乗り切れるか。(Amazon
 本当に渚の夏休みは散々ですね(笑)嘆いちゃうのも当たり前だ。悪意の漂う素敵なお話でした。もう、オチが最高だった。苦い後味。うわあ致命的……!
 めちゃくちゃ短いから、暑い夏の夜を乗り切るためにぜひ読んでください。背筋が冷えます。

 

「なんの話してんの? あたしが聞いたのは、あの晩、兄貴がどこにいたか、だよ?」
 兄貴はあたしを見て、にっこり笑った。
「葉崎医大病院に行ってた。柚子を殺しに」


 田所の死の原因を作った(というか殺したといっても差し支えないのでは笑)のは渚で、良輔兄は同時刻に柚子を殺していた。ひえー! 兄妹がいっしょに殺人だなんて! さすが若竹七海。容赦ねえ。
 忍との淡い恋にきゅんとしたりしてたけど、『血文字パズル』では別の男が出てきたよね……? 何も覚えてないのでもう一度読みたいと思います。