Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

福井晴敏『Op.ローズダスト(上)』  ★★★★

Op.ローズダスト(上)
Op.ローズダスト(上)
福井 晴敏
『ねえ、知ってる? 冬になると、ここ“波の花”が見られるんだって』
 穏かな三佳の声が沈黙を遮り、ぼくは我に返った思いで顔を上げた。
『波の花……?』
『波飛沫が岩に当たって、砕けてね。それが風に吹き上げられて、ふわふわ舞うんだって』
『へえ……』
『冬になったら、見にこようよ。三人で』

 一度挫折し、やっとのことで読み終わりましたローズダスト。発売されたのは3月15日だって……ファンとして情けないですね。
 二〇〇六年秋、“ネット財閥”アクトグループの役員を狙った連続テロが起こる。実行犯は入江一功をリーダーとする「ローズダスト」を名乗る五人グループ。警視庁の並河警部補は防衛庁情報本部の丹原朋希と捜査にあたるうちに、朋希と一功の間の深い因縁を知る。かつて二人は防衛庁の非公開組織「ダイス」に所属し、従事していた対北朝鮮工作が失敗、二人が思いを寄せていた少女が死んだ。朋希を除く生き残った工作員たちはテロリストとなり、アクトグループ役員となった元上官に復讐しようとしているのだと……。(Amazon
 今の時点で既に下巻も読み終わったけど、やられました。致命傷です。
 福井晴敏とは去年『ローレライ』『亡国のイージス』『戦国自衛隊』が映画になって一気に有名になった作家。
 漢字を多用する仰々しい文章がとっても読みにくいと評判です(私の中で)てか、文章、うまくないよね(暴言)溢れんばかりの熱気は感じられるんですけどね。堅さを出したいのはわかるけど……。
 北朝鮮に赤坂に桜田門に市ヶ谷、テロや戦争や政治などが絡み合った内容に加え、ヘリなどの軍用機や銃にミサイルといった武器の描写もそれはそれは細かで、素人にはさっぱりついていけません。どこまで本当なのかもわからん(それは私が無知だから)。それらのマイナス面を遥かに上回るエンタテイメント性があり、素晴らしい感動をもたらしてくれるのだが。日本という国を考え直すきっかけも与えてくれる。
 ついでに福井さんはファンの心を射止めるサービスが大変お得意。ローズダストの公式ブログにて、「がっかり質問」なる企画があったのだが、これがすごい。どこまでもどうでもいい質問にブノゴーが答えてくださるのだ。私を殺す気か。B定食って……!
 公式サイトではよくイベントが催されてて、今度は絶対発売日に読もうと思う。不勉強だけど参加したい……!
 そんなわけでひたすら防A庁に行きたい。市ヶ谷とか自衛隊とか対艦ミサイルハープーンとか聞くとときめきます。架空の地下組織ダイスが実際にあればいいのにと熱望しています。
 思い余って見学ツアーに申し込みそうになりました。再読したらいつか行こう。福井晴敏有川浩が好きな人どなたか一緒に行きませんか。

 ……ここまで内容にあまり関係ないですね。
 福井さんといえば「少年とおっさんの交流」なんだけど、今回は少年を対立させてみたり恋愛色を強く(?)出してみたりとちょっぴり冒険心が感じられます。しかし朋希と並河の交流が一番だよな。朋希が段々馴染んでいき、そんな自分にあわてているのがかわいくてしかたない。てか、朋希はあほなかわいい子だよね(違う)
 あと注目株は羽住さん! 長身で端正な横顔の持ち主である彼、とても格好いいです。どこまでが上巻の話だかうろ覚えなので、これ以降は下巻の感想に持ち越します。