Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

瀬尾まいこ『強運の持ち主』  ★★☆

強運の持ち主
強運の持ち主
瀬尾 まいこ
「あの時は、ああ、またこれを繰り返したいなって思ったんだ。なんかさ、映画とか海とか行った後って、帰ってくると、デートがやっと終わったって、ほっとしちゃう面もあるだろう? でも、ジャスコに行ったときは、またすぐに行きたいって単純にそう思えた」(ファミリーセンター)

 ううむ、よかったんだけど、瀬尾まいこには結構期待してしまっている分拍子抜け。『卵の緒』『幸福な食卓』が一番かな。
 会社をやめて占い師になった吉田幸子。ルイーズという芸名で、ショッピングセンターに店を構えている。強運の持ち主である通彦と同棲しながら、幸子は今日も二十分三千円の占いをするのだった。そんな設定の連作短篇集。
 ニベア:小学生の男の子が「お父さんとお母さんどっちかに決めてほしい」とやってくる。子ども相手に適当なことを言うわけにもいかず、ルイーズは男の子の家族を調査することに。
 ファミリーセンター:気になる人を振り向かせたいのでどうしたらいいか教えてほしい、と言う女子高生のまゆみ。ルイーズは様々なアドバイスをするも、悉くうまくいかず……。
 おしまい予言:関西弁の大学生の男の子、武田平助。彼は物事の結末がわかってしまうという能力を持っていた。どのように生かしていくべきか、ルイーズの店で勉強したいと言う。
 強運の持ち主:アシスタントとしてくるようになった竹子さんは、まじめで良い人だが、しっくりいかない。ためしに通彦を占わせてみたところ、最強の幸運は離れ、闇の中に突入するとの結果が。
 今読み返したらやっぱり心がほんのり暖かくなる感じなんだけど、飛びぬけたものはないなあ。デートの場所に提案するとこがスーパーってのは『優しい音楽』を思い起こしました。張り切って遠出しなくても楽しいのがいいな。