Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

有川浩他『Sweet Blue Age』  ★★★

Sweet Blue Age
Sweet Blue Age
有川 浩, 角田 光代, 坂木 司, 桜庭 一樹, 日向 蓬, 森見 登美彦, 三羽 省吾

 私たちの、はじめて深く人を好きになった気分、どうしたって手に入らないものがあると知った戸惑い、言葉よりさらに馬鹿でかい感情の下手な処理、手に負えない自分自身、そんなものが、生々しく、痛々しく、あふれ出すぎている。(あの八月の、)

 会えない辛さを凌げるかどうかは分からないけど、少なくとも凌ぐ努力を端からしない選択なんかあたしはあり得なかったのに、勝手にあたしを見積もって切り上げないでよ。(クジラの彼)


 アンソロジーだけど私の頭の中には有川浩しかいませんでした。角田光代をすっとばして読んでびっくり、これは紛れもなくファンサービスではありませんか! しばし悶絶。ず、ずるい。私も自衛隊と合コンしたいです……ああ羨ましい。
 題名通り甘い青春の日々、って感じ。懐かしきあの頃、みたいな時をお話に。
 あの八月の、(角田光代):大学で映画サークルに入っていた私・夏紀。十年後、同期の弥生子と二人、夜の部室に忍び込む。当時七人いた新入生は皆、色恋沙汰に没頭しており……。
 クジラの彼(有川浩):聡子は数合わせとして合コンに担ぎ出された。相手は自衛官。知り合いもいない聡子が、優男風幹事の顔に見とれていると……。
 涙の匂い(日向蓬):父の転勤で東北の田舎町に引っ越してきた理恵子。言葉を聞き取るのは大変だし、イナゴ捕りなんて行事があるし。坊主頭の中に、一人だけ違う雰囲気の男子、保がいた。
 ニートニートニート三羽省吾):タカシは会社を辞めた。寮を出て行かなければならないのに、中学時代からの友人・レンチがいきなり旅をしよう! と乗り込んでくる。
 ホテルジューシー(坂木司):ヒロは夏休み、石垣島の宿で泊りこみのバイトをすることに。オーナーの頼みで、居心地のいい職場から那覇のホテルに移動したのだが……。
 辻斬りのように(桜庭一樹):わたし・川村優奈は二十五歳になってから突然、辻斬りのように男遊びをしたいな、と思った。
 夜は短し歩けよ乙女(森見登美彦):「これは彼女が酒精に浸った夜の旅路を威風堂々歩き抜いた記録であり、また、ついに主役の座を手にできずに路傍の石ころに甘んじた私の苦渋の記録でもある」
 「涙の匂い」にて、窒素を膣素と書いた保ですが、私の家庭教師先の男の子も室素と書いて×をくらいました。どっちもどっちだ。

 

 私も潜水艦乗りに会ったら、「潜る」ときはどんな気持ちですか? って聞こうっと(笑)