Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

冲方丁『冲方式ストーリー創作塾』  ★★

冲方式ストーリー創作塾
冲方式ストーリー創作塾
冲方
 キミにもあの名作『マルドゥック・スクランブル』が書ける!!
「小説や物語が好きだし、なんとなく自分も書いてみたいけど一体どうすればいいの?」と考えているアナタ。そんなアナタのために、今ライトノベル界でもっとも旬な作家“冲方丁”が一肌脱ぎます! あの名作『マルドゥック・スクランブル』の書き方など、秘蔵のストーリー創作のテクニックや秘訣を初公開。ライトノベルを中心に、アニメ、ゲームのシナリオ・まんが原作に相通ずる創作手法を包み隠さず徹底伝授します!(Amazon
 『マルドゥック・スクランブル』しか著者の本は読んでいないけれど、本書の存在は知っていた。気になってた。図書館行ったら偶然あって、見てみると軽く読めそうだったからその場で読みました。まあ、私にはあの名作は書けないな! てのが感想です(笑)
 冲方さんは作家アシスタント制をとなえたり、精力的に手広い活動をしていたりと、本だけでなく行動も面白い人。作家界の行く末を本気で心配し、新作家を育てるには、なんてことにも触れています。
 そんな彼が小説を書く手順を示してくれているのがこの本。ぺらい冊子みたいなものにするつもりが一冊の本になってしまったそうです(うろ覚え)。小説の書き方なんて人によって千差万別だけれど、どんな風に作家が一つの物語を創っているのか。好きな作家ならなおさら、知りたいですよね。
 これを読めばまさにその過程を追うことができます。メモ、登場人物設定、プロット、エトセトラ。問題は、作品を知らないとさっぱり理解できない点。マルドゥックはわかるんだけど(原稿用紙1800枚分の文章を本にしてくれる会社に辿り着き、出版するまでが事細かにのっている)、『カオスレギオン』『蒼穹のファフナー』の例はさっぱり。私はそこをすっ飛ばして次の章に入りましたけど。
 四時間目・五時間目はなかなか面白かったかな。何かを過剰にしたり不足させてみたり、という技術(?)とか。もう一度読みたい。
 ファンにとっては間違いなく楽しめる本なのではないでしょうか。