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Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

恒川光太郎『夜市』  ★★★

夜市
夜市
恒川 光太郎
「いかなる奇跡を用いようとも、生を得るとはそういうことではないのですか? そのはじまりから終わりまで、覚悟と犠牲を必要とする」(風の古道)

 日本ホラー大賞受賞、ということで話題になった本書。装丁も怪しげでよし! といったところ。予想外の薄さには驚いたけれど、薄い分には歓迎です。
 夜市:いずみは高校の同級生だった裕司に、夜市に誘われた。どんなものでも手に入るという。並んでいるものはどれも高価で怪しげだ。一通り見た二人は帰ろうとするが、何かを購入しないと外には出られないと言われ……。
 風の古道:私は七歳の頃、不思議な未舗装道を通ったことがあった。その道の存在を友人のカズキに打ち明けると、これから一緒に行ってみようということになった。
 「絵が浮かんでくる受賞作」とあるが、その通りだと思う。夜市では暗い中で屋台が放つおぼろげな光が、風の古道では普通の世界との境目までが、色彩豊かに頭に浮かぶ。本を読めば誰もがその世界を脳内でイメージ化するだろうが、この本を読んだ人たちのつくり上げるイメージは大体一致しそうだ。アニメで映像化してほしい感じ。
 行間を開けるのが多くてちょっと気になるけれど、人それぞれだからなあ。いわゆるホラーの怖さは少ないが、だからこその怖さがあるっていうか……ちょっとミステリっぽいとこもある。話が繋がっていくのが面白い。