Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

有川浩『図書館戦争』  ★★★★☆

図書館戦争
図書館戦争
有川 浩
「いい加減にしなさいよ、全部あんたが一番じゃないと気が済まないの!? 適所適材は貧乏軍隊の基本なのよ!」

「選ぶべきものを選ぶときに選び方を躊躇する奴は口先だけだ」
 SFなのかなあ、と思いつつ恋愛小説のカテゴリに入れてしまった。キャッ!(誰だこいつ)有川浩四作目は、陸軍→空軍→海軍と来たあの路線から外れ、『図書館戦争』。どんな本なのだろうと空想を巡らせていたら……軍隊っぽいのキター! 図書館を舞台にした近未来小説なのだが、図書隊という組織の防衛部が戦いの役目を担っております。小銃警棒サブマシンガン、耳慣れた響きよの……。しかし、作者が後書きで仰ってるように「月9連ドラ風」。恋愛風味がいつもより――あれ、でも常に結構恋愛風味だよね?
 ───公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館!狩られる本を、明日を守れ! 敵は合法国家機関。相手にとって不足なし。正義の味方、図書館を駆ける!
 笠原郁、熱血バカ。堂上篤、怒れるチビ。小牧幹久、笑う正論。手塚光、頑な少年。柴崎麻子、情報屋。玄田竜介、喧嘩屋中年。
 この六名が戦う『図書館戦争』、近日開戦! (Amazon
 すごく面白い紹介文だったので、そのまま引っ張ってきました。いやあその通りだよ! 登場人物を紹介する手間が丸ごと省けました。ちなみに郁は女性。そう、完全に女性キャラクターが主役。今までは何だかんだいって男が主な語り手だったけれど、今回は違う。熱血バカデカ女・郁の成長物語みたいなものです――あれ、有川作品においては成長も大きなキーワードだな。図書館の自由に関する宣言が実在するというのはびっくり通り越して唖然。
 ヤフーと非公式HPのインタビューやらを見たところ、レンジャーとして皆の色が決まっているらしいね! 郁が赤、堂上が青、小牧が緑、手塚が黄、柴崎がピンク、玄田は指令役だとか。ピッタリだなあ! 手塚が黄っていうのもなかなかはまっています。
 有川さんは割と毎回似たようなキャラクターを持ってくるんだよね。ストーリーとしても。あと、ここまで人の行動・言動を深読みするか!? ってほどに深読みします。恐ろしいです。メインキャラがその深読みを前提として会話を繰り広げている事が。私はこんなに考えて物事を喋っていないぞ。頭が悪いからかなあ。
 私は温厚そうでクールな(外面のいいサディストとでもいおうか)キャラが大好きで大好きで……ネットでは堂上あたりが人気だそうで驚いた。そんな! 小牧さんポジションの男はだめなのか!? 『海の底』でも断然冬原派だったしなあ。これからもマンネリ化を上手くかわしつつ、この手のキャラを出していただきたい。柴崎みたいな毒舌女も好きだ。女として、いかにもかよわいヒロインなんかよりも断然、打算的で強かな人の方が肩を持ちたくなる。郁は手塚とでもうまくやっていけるんじゃ(笑)? 手塚のビジュアルイメージは『イリヤの空~』の水前寺です(ぶっとんだ)
 そうそう、中表紙? でほんのりと六人の顔が出ていますね。気になる!
 何はともあれ、相変わらずのリーダビリティが炸裂。面白いったらありゃしないよ。いつもと少し違うのは、気になるのがストーリー展開<恋愛事情(人間模様)だってこと。有川さんが軍事の一切介入しない(笑)恋愛小説を書いたらどんなことになるのか、ちょっと読んでみたい。でもまだまだ自衛隊とか、戦う男女を描いて頂きたい。どうしてこんなに格好良いのだろうと悶えてしまうほどのね。
 人様の感想を読んで気づいた! これ、シリーズ化するっぽい! わー! 切実に続きが読みたいです。郁の恋路(としておく)はどうなることやら……。