Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

北方謙三『死がやさしく笑っても』  ★★☆

死がやさしく笑っても―約束の街〈4〉
死がやさしく笑っても―約束の街〈4〉
北方 謙三
「俊一よう、男同士の同盟ってのは、こんな時に解消するもんじゃないんだ。相手がひどい状態の時に解消するのなんか、同盟とは呼べない、と俺は思う」

 息が切れた。顔が強張ったようになった。俺だって。不意に思った。自分のために駈けることはある。闘うこともある。
 いままで、自分のため以外になにかやってきたか。自問も脈絡はなかった。足がもつれた。

 虚飾と欲望に彩られた街。私・田村幸太郎はこの土地の権力者・久納義正を取材するためにやって来た。ジャーナリストは復讐のために始めた稼業だった。それがいつしか裏で記事を買い取らせるようになっていた。あの少年と街角で出会うまでは。少年・神谷俊一の家族は瀬名島で利権争いに巻き込まれていた。私は彼と行動する事で、久納義正と少年の母に秘められた過去を知った。やがて激化する利権抗争。少年の母が危機に晒される。その時、老いた男の命を賭けた姿が、私の心に再び火をつけた! いま、滅びゆく者の人生が魂を激しく突き動かす。(裏表紙)
 相変わらずかっこいい紹介文は誰が書いているんだろう。本書では今まであまり描かれなかった久納の爺さんが大活躍(?)です。最近水村にときめきます。ソルティ視点だった一冊目では、そうでもなかったのにな……。ネタバレ読んで、彼の正体を知ってしまったからでしょうか。
 五巻にはついに、待ちわびたあの人が出てくるっぽいよ!! 楽しみ! 私、あの人たちに会いたくて約束の街読んでるようなもんだから……間違った読み方って言われてもいいわ! フォーリンラブですから。