Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

姫野カオルコ『短篇集H』  ★★

短篇集H(エッチ)
短篇集H(エッチ)
姫野 カオルコ
 女から見た図太さは、男から見れば魅力に変わる。ミステリアス、とかって表現するんだって?
 女から見たふてぶてしさは、男から見れば魅力に変わる。コケティッシュ、とかって表現するんだって?
 女から見たたくましい渡世術は、男から見れば魅力に変わる。俺がついててやらないといけない、とかって表現するんだって?
 女から見た股のだらしなさは、男から見れば魅力に変わる。恋に傷ついた、とかって表現するんだって?(鞄の中の妖精)

 ついつい手に取ってしまった。タイトルの通りでした(笑)ひたすらエロス。そして女の内面を抉るきつい言葉の数々。ううう。
 猫・あなただけが好き・エンドレス・ラブ・アニキの嫁さん・ちぢに乱れし黒髪の……・課長の指のオブリガート・鞄の中の妖精・正調・H物語・現代社会と再生・書を読め、街に出るな、といったラインナップでした。数が多いしあらすじ書くのもはばかられるからやめます。
 好きだったのは、課長の指のオブリガート。ミステリとして読めなくもない(本当か?)。最後のサプライズが楽しい。鞄の中の妖精は痛かった。私も将来そんな風に自分を納得させながら人を羨んでいるかもしれないと思うと……いたたまれないものが。正調・H物語と現代社会と再生の二つは、まさにやりたい放題やったんだなあという感想しか抱けない。作者が楽しそう。
 また面白そうなのがあったら彼女の本は読んでみるつもり。