Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

北方謙三『冬に光は満ちれど』  ★★★

冬に光は満ちれど―約束の街〈3〉
冬に光は満ちれど―約束の街〈3〉
北方 謙三
「人を殺しても、殺したと思わずにいられそうだな、山南」
 心のどこかを刺された。そう思えなければ、仕事は踏めない。
 見返したが、群は笑っているだけだった。

 いやあかっこいいね! 読み始めはそうでもないんだけど、終わりに近づくにつれこの世界にも慣れ、男達に親しみが湧いてくる。かっこいい。応援したくなる。
 S市郊外のトンネルを抜けると蜃気楼のような街が眼の前に広がる。私・山南はかつての師・市来を捜すためにこの街へやってきた。三千万円の報酬で人ひとりの命を葬る。それが、彼に叩きこまれた私の仕事だった。五年前、この稼業から互いに身を退いた。なのに何故、市来は今、ひとりで仕事を踏もうとしているのか。老いぼれた躰で何ができるというのか。私が代わりに、標的を殺るしか、もはや止める術はなかった……。(Amazon
 二巻で主人公だった波崎はS市に住み着いちゃったみたいで。玲子といい感じになってたことしか覚えてないよ。御大の本はあまり感想書く気になれないからなあ。かっこいいしか言えないんだもの。短く完結な文章によってつむぎ出されるハードボイルドな男の生き様。男はかくあるべし、みたいな。これを読むと女でよかったなあと思うね。男を見ていたいからさ。現実にこんな奴らいねえよ……というツッコミはなしの方向で。N市かS市に行ってみたいものだわ。