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Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

貴志祐介『ISOLA―十三番目の人格』  ★★

怪奇幻想

ISOLA―十三番目の人格(ペルソナ)
ISOLA―十三番目の人格(ペルソナ)
貴志 祐介

 同じ文献によれば、古くから以心伝心という言葉で知られているように、激怒、悲嘆、憎悪といった強い心的エネルギーをとのまった感情は、人間の心から心へと直接伝わることがあるのだという。そうした能力は、通常は文明、特に言語の発達と共に衰退していくが、現代の特別な能力を持っていない普通の人間の場合でも、しばしば五感を介さずに、直接相手の感情を感じ取っているらしかった。


 これがデビュー作らしい。本当に読点の多い文章で。一度意識すると気になって仕方が無い。舞城に少しわけてあげたらいかがかしら(笑)
 賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパスだった。その能力を活かして阪神大震災後、ボランティアで被災者の心のケアをしていた彼女は、西宮の病院に長期入院中の森谷千尋という少女に会う。由香里は、千尋の中に複数の人格が同居しているのを目のあたりにする。このあどけない少女が多重人格障害であることに胸を痛めつつ、しだいにうちとけて幾つかの人格と言葉を交わす由香里。だがやがて、十三番目の人格「ISOLA」の出現に、彼女は身も凍る思いがした。(Amazon
 ぐいぐいと引き込まれるあたりはさすが。由香里の出来すぎさは同じ女としてどうかと思ったけどね。女性はこんなヒロイン書けないんじゃないの? 彼女にも暗い過去が、というか現在進行形であるわけですが……。真部と恋に落ちてしまう場面はちと性急だった気がします。愛してしまっている、なんて簡単に使われるとなあ。
 心理学に興味があるので、専門的な部分をとても楽しく読みました。以心伝心かあ……本当なのかなあ。
 多重人格って認められてないんだね。実際にそういう人と接したことがないのでなんとも言えないけれど、自分の中に多数の人格がいるということを隠さなくてよかったのかしら。バウムテストやら心理テストやら、随分はっきりと示していたが。怪しまれないためには瞭子あたりがしっかりと取り仕切っておくべきだったよ。途中から実験を楽しむようになったとあったけどさ。
 含みを持たせる終わり方は好き。ホラーだものね。

 

  ISOLAはいなくなって、真部と由香里はくっついてハッピーエンドかと思いきや、真部は想像以上に思いつめていたみたいね。自分にのりうつらせてから自殺か……由香里、ドンマイ。最後も絶望と諦めが漂ってて良い感じだったわ(趣味が悪い)。