Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

大島真寿美『チョコリエッタ』  ★☆

チョコリエッタ
チョコリエッタ
大島 真寿美
「でも、さっき思ったの。私はほんとうは死にたいのかもしれないって」
「はじめて?」
「はじめて」
 ジェルソミーナが数秒沈黙してから私に言った。
「それならやっと生まれたのかも。だって死んでいる人間は死にたいなんて思えないもの」

 読書の参考にしている方がべた褒めしていたので読んでみたが、どうも私には合わなかった様子。こういう小説もあるのねー、くらいで終わってしまった。残念。彼女の本は初めてなので、香港の何とか豆腐(調べます後で)も読んでみようと思ってる。
 現実にうまく馴染めず、「チョコリエッタ」という虚構の名前にくるまり世間から逃避していた知世子は、映研での自主映画制作の過程で、本来の生気を取り戻し、窮屈なしがらみからのびのび解放されていく――。
 誰も呼ばない本当の名前、私はチョコリエッタ。がらんとしたモノクロームの記憶がやわらかに色づきのびのびと芽吹きだすまで――。私がある一匹の犬だった季節はそうして終わった。(両方ともAmazon
 最近あらすじさぼり気味だなあ。短編集だと書かざるを得ないんだが、一冊に話が一つのやつはね……あらすじが書けなくて日記をさぼるよりはマシだろうということで。
 表紙の犬がかわいい。これでも「カバーイラスト」と描いた人の名前がきっちり表記されているのが面白い。当たり前なんだけどさ。絶妙な犬だなあ、それにしても。文字のへたり具合もだ。カバーとるとチョコレート色で、やっぱりかわいい。
 チョコリエッタというのは、ジュリエッタって犬を飼っていた主人公・知世子がお母さんにつけられたあだ名。しかしそのお母さんは死んでいて、知世子のお母さん代わりになってくれてるのは霧湖ちゃん。彼女、偉いぞ。大学卒業して就職せずに親戚の女の子のお母さんになったんだから。ひゅー。
 本は第一章:春のフィルム、第二章:夏のフィルム、第三章:秋のフィルムとなっています。春、進路のアンケートに犬になりたいと書いた知世子。彼女が映研部に入ったいきさつや、先輩の正岡正宗との交流。夏、正岡正宗は人を殺す代わりにチョコリエッタをビデオにおさめる。二人はバイクに乗って山へ。ハーモニカ。秋、知世子はもう一人の部員と一緒に、先輩の送ってきたビデオを見る。あらすじかな、これ。
 正直、あまりよくわからなかった。映画にも詳しくないしねー。