Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

若竹七海『ヴィラ・マグノリアの殺人』  ★★★☆

ヴィラ・マグノリアの殺人
ヴィラ・マグノリアの殺人
若竹 七海
 おいおいおいちょっと待て! と言わずにはいられないラストに乾杯。
 海に臨む瀟洒な邸宅、十棟が並ぶ「ヴィラ・葉崎マグノリア」。その一棟、密室状況の空き家で死体が発見された。所持品もなく、顔と手が潰され、身元の特定は困難。聞き込みに懸ける葉崎署員だが、ヴィラの住人は皆、一癖も二癖もある人間ばかり……。聞き込みのたびに、担当の一ツ橋巡査部長と駒持警部補の眉間の縦皺が増えていく。そんなおり、さらにヴィラ内である人物が殺害される! 連続殺人により、住人たちの秘められた事実が次々と明らかになり……!?(Amazon
 これはシリーズではなく、葉崎市を舞台にした本が今のところ三冊出ているみたいですね。著者のことばには、「暴力行為の比較的少ない、後味の良いミステリ――これすなわち、コージー・ミステリ」とあるけれど、連続殺人だしなあ。300ページで死んだ人が2人というのは少ないってことかしら。後味は若竹七海風に(笑)良いね! 痛快! 

 

 マ、ママさん!! さすが若竹七海、あっさりと終わらせてはくれないのね。セリナとロバが早く戻ってくるといいね。

「やだ。まさか中里くん、本気で言ったんじゃないんでしょ」
「――冗談だよ」
「そ。ならいいわ。物事には限度ってものがあるものね」
(略)
「ねえ、中里くん。あなた、どのくらい貯金してる? わたしの貯金とあわせれば、セリナのいた八号棟が買えるくらいになるかしら?」


 鬼頭時子と岩崎を七号棟に、典子と自分は四号棟に住まないかという提案をした中里。それ続く二人の会話なんだが、かっこいい……! このさりげなさに敬意を表します。