白岩玄『野ブタ。をプロデュース』 ★☆
野ブタ。をプロデュース
白岩 玄
嫌悪感先行の蔑みの笑いと、バカにしても根元に愛のある笑いの違いは大きい。わかりやすく言えば「あいつキモイよな」と「おまえキモイよな」では全然意味が違うということだ。面と向かってバカにできるということは、ある程度の愛がなければできない行為であり、相手を本気で傷つけようという気持ちは含まれていない。
うーん。この文章には妙に納得してしまったよ。
ちょっと前に話題になったね。作者は21歳か。中身が空っぽだけど、外面では調子いい奴を演じている男子高生が、ブタみたいなキモイ(とクラスで言われる)転校生をプロデュースして人気者にしよう、って話。本作は誰でも知ってるものだと思ってたけど、それは本好きにしか通用しない常識でした。弟に何それ? って言われちゃった。結構大きく取り上げられたんじゃないのかな?(どこでだかわからんけど)
ストーリーとしては楽しめたものの、近頃の高校生が皆こんなもんだと勘違いされたら困るような主人公でした。いや、誰でも仮面は被ってるでしょうよ。人によってそれを付け替えるでしょうよ。でも、これじゃあな。ラストに近づくにつれ痛々しさが……。もうちょっと中身つめろよ! 空っぽだという自覚があるのなら尚更。それが出来たら苦労しないって?
細かいことを言うと、文章が下手(偉そうに)。デビュー作(だよね?)だから仕方がないかもだけど、推敲できなかったものかな。「(笑)」の乱用もどうにかしてほしい。作家たるもの、笑いくらい表現してみせんかーい!
修二、化けの皮が剥がれて転校に追い込まれる。……救いようがねえなあ。野ブタが人気者になってめでたしめでたし、というありきたりな終わり方だと思ってたんだけど。良い意味で裏切られた。後味は悪いが。
上っ面だけでも友達やってた奴らに、信じてもらえないのって辛いよなあ……。うう、行動を正そうかしら。