Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

恩田陸『ユージニア』  ★★★☆

ユージニア
ユージニア
恩田 陸
 だけど、尊敬と軽蔑、憧れと妬みは紙一重。
 長い歳月の間に、彼らは、自分たちに「見えない人間」を増やしていっていたんじゃないでしょうか。
「見えない人間」の奉仕と忠誠を当然のものと思うようになっていたんじゃないか。
「見えない人間」が何を考えているか、どれだけ存在しているか、想像しようとしなくなったんじゃないか。

 これはミステリ……? ではない? とっても微妙なので現代小説にしておきました。WEB本の雑誌での評価が高く、予約したのが二ヶ月ほど前。やっとのことで順番がまわってきた。タイトルから想像したのは『ネバーランド』や『夜のピクニック』などの怖くもありながらほんわかしたものだったのだが、180度違かった。たまに三人称も入るけれど、全編インタビュー形式の『Q&A』と似ている。得体の知れない恐怖感とかね。夜中に独りで、見届けないと眠れない状態に陥って読んだので、かなり怖かった。チキンのくせにミステリやらホラーやら読むからだよ! ばーか!
 舞台は金沢(だよね?)。ある夏、青澤家の米寿のお祝いの席で、17人が毒殺された。青澤家で生き残ったのは、盲目の美少女・緋沙子のみ。危ないところで難を逃れた、近所に住んでいた少女・雑賀満喜子は、大学生になり改めて事件の関係者にインタビューをし、『忘れられた祝祭』という本を出す。その後、更に話を聞いてまわる人物が。関係者とその人物の対話や、関係者の三人称や一人称で話は語られる。騙し絵的な物語。
 早い段階で誰が犯人として疑われているかはわかる。世間的に見ればしっかり解決している事件。結末はすっきりしないのだが、ネットで検索したら感想が沢山出てきたので助かった。いや、それでも腑に落ちられてないけどね。疑問点を整理している方もいて、すげーと一人感動。文章が斜めに印刷されていることも、気付いていなかったほどの鈍い頭の持ち主です。ページの裏に映る文字がどうも目立つな……くらいにしか思ってなかったから。読ませがいのないこと甚だしい。表紙のカバーを捲りたくて仕方ないものの図書館の本なので無理。書店に赴いた際には見てこようっと。