Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

湯本香樹実『夏の庭』  ★★★★

夏の庭―The Friends
夏の庭―The Friends
湯本 香樹実
 死んでもいい、と思えるほどの何かを、いつかぼくはできるのだろうか。たとえやりとげることはできなくても、そんな何かを見つけたいとぼくは思った。そうでなくちゃ、なんのために生きてるんだ。

 小学6年の夏、ぼくと山下、河辺の3人は、人が死ぬ瞬間を見てみたいという好奇心から、町外れに住むおじいさんを見張ることにする。一方、観察されていると気づいたおじいさんは、憤慨しつつもやがて少年たちの来訪を楽しみに待つようになる。ぎこちなく触れあいながら、少年達の悩みとおじいさんの寂しさは解けあい、忘れられないひと夏の友情が生まれる。 (Amazon
 素直によかった。この人の書く一人称の文章ってとてもいいと思う。老人と子供の心温まる交流、とくれば最後の結末は誰もが予測するところだけど、きっちりと泣かせてくれた。泣きますよ。特に山下のひと言には涙が溢れた。子供たちがあの結末をああやって受け入れることに、感動するわけさ。人間には交流が必要なんだろう。誰かが見ていてくれないと、やる気が起きないんだよね。一人で生きていくほど強靭な精神は持てないよ。
 癒しだわ。