Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

北村薫『空飛ぶ馬』  ★★☆

空飛ぶ馬
空飛ぶ馬
北村 薫
「――どうです、人間というのも捨てたものじゃないでしょう」
 その≪人間≫という言葉は、ごくごく真面目な意味で≪男と女のつながり≫といい換えることも出来そうだった。
 私は、紅茶茶碗のように暖かい気持ちになって、こくんと首を縦に振った。

 私と円紫さんシリーズの第一弾。順番前後になっちゃったけど。私が大学の先生のお陰で円紫さんと知り合うところからはじまる。
 織部の霊:先生は、どこの誰やらわからない人物を夢に見、更に彼が切腹したことまで知っていた。
 砂糖合戦:喫茶店の隅にいる女の子三人組が、紅茶に何杯も砂糖を入れ始めた。
 胡桃の中の鳥:正ちゃんと江美ちゃんと車で出かけ、駐車場に停めてその場を離れ、戻ってくるとシートカバーが盗まれていた。
 赤頭巾:歯医者に行った私は、“ほくろさん”に奇妙な話を持ち出される。公園に赤頭巾が出るというのだ――。
 空飛ぶ馬:≪かど屋≫から幼稚園へと寄付された木馬。隣人のトコちゃんちの奥さんが、一日だけなくなっているのを見たらしい。
 急いでいたのでかなり簡略化したあらすじでした。短編はAmazonから拾ってくることもできないもんでね。読むのは楽なんだけど、感想書くのは手間どるわ。
 これを読んで、北村薫覆面作家としてデビューしたことを初めて知った。名前は薫だし、文章読むだけじゃ若い女性が作者だと私も思うだろうね。全編通して優しげな感じでよかったです。しかしやっぱり誰の台詞だろうとわからなくなる……理解力がないようで。
 『しゃべれどもしゃべれども』、ドラマの『タイガー&ドラゴン』、これと最近私の周りでは落語が熱いみたい? 一度本物を見てみたいものだ。