Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

恋愛小説

姫野カオルコ『短篇集H』  ★★

短篇集H(エッチ) 姫野 カオルコ 女から見た図太さは、男から見れば魅力に変わる。ミステリアス、とかって表現するんだって? 女から見たふてぶてしさは、男から見れば魅力に変わる。コケティッシュ、とかって表現するんだって? 女から見たたくましい渡世術…

森奈津子『耽美なわしら(上)』  ★★

耽美なわしら 完全版(上) 森 奈津子 「はっきり言って、世界中どこでも、軍隊は同性愛者だらけなのよっ。世界の国々は同性愛者に守ってもらっているも同然なのよっ。だから、国家はもっと同性愛者の権利を保護するべきなのよっ!」 恋愛小説にカテゴリわけし…

佐藤多佳子『黄色い目の魚』  ★★★☆

黄色い目の魚 佐藤 多佳子 私の心からキライが減って、好きが増えてきた。それは、すごいことだ。ずっと望んでいて、なかなかかないそうもなかったことだ。木島一人を好きになっただけで、明るい濃い色が染みていくようにじわじわと好きが増えていく。世界が…

姫野カオルコ『桃』  ★★★☆

桃 姫野 カオルコ 男子がまだ字もろくに読めないころから、女子は、某姫がその美貌で経済力のある王子を射止める絵本を見聞きし、男子が怪獣カードを集めているころには、女子は、美貌はなくとも「ドジ」をキュートに演出する術で長身痩躯の男を射止める漫画…

姫野カオルコ『ツ、イ、ラ、ク』  ★★★★

ツ、イ、ラ、ク 姫野 カオルコ 人は恋に落ちたとき、相手のどんなに小さなさびしさも見逃せなくなるのである。恋する相手はさびしそうに見えるのである。笑っていても暗殺者のように孤独な表情をそこに見出すために。 ものすごい話だった。面白いとかではな…

白石一文『私という運命について』  ★★

私という運命について 白石 一文 「所詮、人間なんて自分の夢や希望を実現するのが一番の希なんかじゃなくて、その夢や希望を誰かに託す方がずっと満足できるのかもしれないって近頃は思うわ。自分だけの夢や希望だったら、達成してしまえば、もうそれは夢で…

三浦しをん『ロマンス小説の七日間』  ★☆

ロマンス小説の七日間 三浦 しをん これで三浦しをんは全制覇! やったねー。胸を張って彼女のファンだと言えよう。例え著作を一つも所有していなくとも……。買うならいつ読んでも元気が出そうなエッセイがいいかな。多分買わないけど。ごめんなさい! いつか…

川上弘美『古道具 中野商店』  ★★★

古道具 中野商店 川上 弘美 ヒトミさん、おれ、なんか下手ですいません。タケオが小さな声で言った。 下手って、なにが。 なにもかも。 そうでもないよ、わたしだって、下手だし。 そうすか。あの。タケオは珍しくわたしの目をまっすぐに見ながら、言った。…

伊坂幸太郎他『I LOVE YOU』  ★★★★

I love you 伊坂 幸太郎, 石田 衣良, 市川 拓司, 中田 永一, 中村 航, 本多 孝好 彼女はなんてことをしてくれたのだろう。僕の心に入り込むなんて、本当に酷いことを百瀬はしてしまったのだ。僕と手を繋ぐなんて、酷いにもほどがある。母と話してくれるなん…

絲山秋子『袋小路の男』  ★★★

袋小路の男 絲山 秋子 そんなこと、口先だけで実際やってみたら大変よと言われるかもしれない、でもなぜだろう。口先だけでも親より抵抗がない。(袋小路の男) だけど、あの女は嘘つきだ。嘘つきというのは違うかな、都合の悪いことはみんな忘れてなんでも…

新堂冬樹『忘れ雪』  ☆

忘れ雪 新堂 冬樹 「春先の雪に願い事をすると叶う」少女はその想いで7年待ちつづけた。「春先に降る雪に願い事をすると必ず叶う」という祖母の言葉を信じて、傷ついた犬を抱えた少女は雪を見上げた。涙の止まらない純恋小説。(Amazon) 勝手に待てよ!(暴…

村山由佳『BAD KIDS』  ★★★

BAD KIDS 村山 由佳 「別にそんなんじゃないのにね。あたしたち、何だかお互いにつらくなっちゃって、それでお互いの手で傷口をふさぎ合ってるだけなのに……」 愛し合っていないのに行為に及ぶのは間違っているとか、性の安売りだとか言う奴がいる。僕も基本…

村上春樹『スプートニクの恋人』  ★★★

スプートニクの恋人 村上 春樹 『ノルウェイの森』よりもよかった。終わり方も、途中経過も含んで。村上春樹は文体と雰囲気を楽しめればいいと思う。新入生歓迎会で石田純一が来るんだけど、どうせなら村上春樹に来てほしい。文学部しか喜ばないかな。

長野まゆみ『若葉のころ』  ★★★

若葉のころ 長野 まゆみ 「凛従兄さんが、どうして氷川さんぢゃなきゃダメなのか、ほんとうは解ってる。……似たものなんて要らないんだ。俺がどんなに従兄さんを真似たって、関心を惹くはずがない。そんなのは窮屈で退屈。自分の尺度に合わせてほしいなんて、…

川上弘美『センセイの鞄』  ★★★☆

センセイの鞄 川上 弘美 センセイ、とわたしは言った。ため息のような声で。 ツキコさん、とセンセイは答えた。非常に明晰な、センセイじみた声で。 「センセイ、センセイが今すぐ死んじゃっても、わたし、いいんです。我慢します」そう言いながら、わたしは…

長野まゆみ『彼等』  ★★★

彼等 長野 まゆみ 「理由を聞かせろよ。何がどういいのか。ただの男だろう。どうしてそう惚れるんだ。」 「……理由なんてない。……あすもあさってもない。……今だけ……なんだ。……それでいい、」 「そう、あわてるな。まだ先は長いんだ」 「ほかのどんな場所でも…

川上弘美他『恋愛小説』  ★★★

恋愛小説 川上 弘美, 篠田 節子, よしもとばなな 他 だって、全部なんてかけて愛したら、相手に悪いもの。そんな重くて大きな思いを、恋愛をしているというだけの理由で相手に負わせるなんて、身勝手すぎるもの。(天頂より少し下って) 「いや、がんばるわ…

長野まゆみ『碧空』  ★★★

碧空 長野 まゆみ 「……ぼくは、べつに見透かされることや、どんな人間かを推測されるのを恐れているわけぢゃない。その結果として、嗤われるのなら仕方ないし、有沢さんが云う表面の像に未練があるわけでもない。そんなのは、どうでもいい。……ぼくは、ただ、…