Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

恋愛小説

松浦理英子『ナチュラル・ウーマン』  ★★★★

ナチュラル・ウーマン ナチュラル・ウーマンの他のレビューをみる» 評価: 松浦 理英子 河出書房新社 ¥ 1,529 (1994-10) 「私はこの小説を書いたことを誇りに思う」。日本文学という手ばなしの母性礼讃の土壌、さらに小さ神礼讃の土壌に、著者が突き出した…

中山可穂『弱法師』  ★★★★

弱法師 弱法師の他のレビューをみる» 評価: 中山 可穂 文藝春秋 --- (2004-02-26) 難病を抱える少年と、少年に父親を超えた愛情を抱く義父との交流を描く表題作など、激しくも狂おしい愛の形を描く3篇を収録した中篇小説集。『別冊文芸春秋』掲載を単行本化…

中山可穂『白い薔薇の淵まで』  ★★★★☆

白い薔薇の淵まで (集英社文庫) 白い薔薇の淵まで (集英社文庫)の他のレビューをみる» 評価: 中山 可穂 集英社 ¥ 460 (2003-10-17) ジャン・ジュネの再来とまで呼ばれる新人女性作家・塁と、平凡なOLの「わたし」はある雨の夜、書店で出会い、恋に落ちた。…

中山可穂『ジゴロ』  ★★★☆

ジゴロ ジゴロの他のレビューをみる» 評価: 中山 可穂 集英社 ¥ 1,470 (2003-02-05) カイは新宿二丁目界隈で顔の売れたストリート・ミュージシャン。ギター一本抱えて現れ、道行くビアンたちに愛のバラードを歌いかける。彼女に翻弄される女たちの切なくも…

中田永一『吉祥寺の朝比奈くん』  ★★☆

吉祥寺の朝日奈くん 吉祥寺の朝日奈くんの他のレビューをみる» 評価: 中田 永一 祥伝社 ¥ 1,680 (2009-12-11) 交換日記始めました! 恋人同士の圭太と遥が内緒で交わしていた交換日記。二人だけの秘密だったはずが…。 ラクガキをめぐる冒険 高校二年のとき…

森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』  ★★★☆

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫) 森見 登美彦 「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!…

中山可穂『花伽藍』  ★★★☆

花伽藍 (角川文庫) 中山 可穂 夏祭りの夜の出会いから別れまでの濃密な恋の顛末を描いた「鶴」、失恋したばかりの一夜の出来事「七夕」、離婚した夫が転がり込んできたことから始まる再生の物語「花伽藍」、恋人とともに飼い猫にまで去られてしまった「偽ア…

ガルシア・マルケス『コレラ時代の愛』  ★★★★☆

コレラの時代の愛 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1985)) 木村 榮一 二度目。二度目の後半にして、フロンティーノじゃなくフロレンティーノだということに気付いた……ずっとフロンティーノ・アリーサだと思ってた……いい話よね。マルケスの描く老人はいいね。

津原泰水『赤い竪琴』  ★★★★★

赤い竪琴 津原 泰水 ブログには既に三つも記事があるんだが、この際四つ目を立てて、五つ星をつけよう。何か気付いたら泣いてた。入栄さんといるときいつも笑ってた、はもうひどいでしょう。 これ映画化しないかな。適してると思うんだけど(見る見ないは別…

ガルシア・マルケス『愛その他の悪霊について』  ★★★

愛その他の悪霊について (新潮・現代世界の文学) G. ガルシア・マルケス,Gabriel Garc´ia M´arquez,旦 敬介 愛は成就されず、成就されるのは愛でないものばかり。十二月の最初の日曜日、十二歳になる侯爵のひとり娘シエルバ・マリアは、市場で、額に白い斑点…

ガルシア・マルケス『コレラ時代の愛』  ★★★★☆

コレラの時代の愛 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1985)) 木村 榮一 夫を不慮の事故で亡くしたばかりの女は72歳。彼女への思いを胸に、独身を守ってきたという男は76歳。ついにその夜、男は女に愛を告げた。困惑と不安、記憶と期待がさまざまに交錯する二人を乗…

渡辺淳一『失楽園』上  ★

失楽園 (上) 渡辺 淳一 凛子と久木はお互いに家庭を持つ身でありながら、真剣に深く愛し合ってゆく。己れの心に従い、育んだ“絶対愛”を純粋に貫こうとする二人。その行きつく先にあるものは…。人間が「楽園」から追放された理由である“性愛=エロス”を徹底的…

津原泰水『赤い竪琴』  ★★★★☆

赤い竪琴 津原 泰水 再々読くらいか。読むたびに評価を上げざるを得ない良作。恋愛小説って自分から読もうとは思わないけど、こういうのならいくらでも読みたいなあ。いいよなー。 津原さん、台詞の処理の仕方を本書では変えてるんだよね。全て台詞ごとに改…

中村航『絶対、最強の恋のうた』  ★★

絶対、最強の恋のうた (小学館文庫) 中村 航 社会科教師のおでこのテカリ占いをしては大受けしていた陽気でマシンガンな中学時代から、クールで一目置かれる弓道部員の高校時代を経て、大学生になった私がしたことは、恋をすることだった。付き合いはじめて…

津原泰水『赤い竪琴』  ★★★★

赤い竪琴 津原 泰水 図書館へ行って適当に借りてきた中の一冊。二年ぶりに再読。しみじみ、いいなあと思った。本の中身はもちろんのこと、小説を読むってのは最上の悦びであることよと思った。幸せだ。小説がないと生きていけないとまでじゃないが、小説がな…

有川浩『図書館革命』  ★★★★☆

図書館革命 有川 浩 シリーズ通してめちゃくちゃ楽しんだから星たくさんつけちゃう! ラブコメの破壊力たるや! このシリーズで有川さんは熱血男性を魅力的に描くことに成功したんじゃないかな。堂上のことね。『海の底』では夏木に目もくれず冬原ばかり見て…

島本理生『ナラタージュ』  ★★★

ナラタージュ 島本 理生 「卒業間際の感傷なんてふざけたことを言わないで。あの日から私はずっと同じ場所にいます。そして、あなたから連絡が来るのを待っていた。それでもあなたは思い込みだって言うんですか」 いろんな場所に出掛けたし、一緒に食事をし…

ロレンツォ・リカルツィ『きみがくれたぼくの星空』  ★★★★

きみがくれたぼくの星空 ロレンツォ・リカルツィ, 泉 典子 これが愛でなくて何だろう。きみのまなざしはぼくが唯一求めていたまなざしで、きみと一緒にいることはぼくが唯一したかったことで、きみといるときだけは孤独を感じないでいられたのに。それは愛だ…

有川浩『図書館危機』  ★★★★

図書館危機 有川 浩 引き金を引いた瞬間、結果的にはどうであれ、郁の中では攻め込もうとする敵を殺した。この手はもう血に塗れた。知事の言葉は郁の手が汚れたことを容赦なく指摘し、しかしそれを指摘してもらえたことに救われる。 手を汚していると分かっ…

有川浩『レインツリーの国』  ★★★

レインツリーの国 有川 浩 実際に会っての取材に応じてくださった方が偶然にも私の本を全部読んでくださっている方で、「難聴者を主人公にして恋愛物を書く」と申し上げましたら、 「それはあれですか、自衛官が地雷処理とかで失敗して難聴になったりするん…

有川浩『図書館内乱』  ★★★★☆

図書館内乱 有川 浩 五年前に一回会っただけだけど、 あたしは今でもあの人に憧れてるし尊敬してるし、あの人が好きです。 前後の状況からして引っ込みがつかなくなったのは明白だ。 「……かわいそうな顔すんなそこ!」 「あ、ごめんそんな顔になってた?」 …

本田孝好他『LOVE or LIKE』  ★★★

LOVE or LIKE 「ぜってえ死んでない」 ぜってえ死んでないさ、と僕も言った。 死んでるわけじゃいよ、と黒崎も言った。 「そうだよね」と彼女が笑い、「そうだよ」と僕らも笑った。(DEAR) 石田 衣良, 中村 航, 本多 孝好, 真伏 修三, 中田 永一, 山本 幸久…

山本文緒『恋愛中毒』  ★★★☆

恋愛中毒 山本 文緒 レポートのために再読した。面白くてついつい読みふけってしまった。どろどろしていて好きだ。水無月美雨について考察しすぎてしまったので、感想はパスしておこう。

三浦しをん他『最後の恋』  ★★★

最後の恋 阿川 佐和子, 角田 光代 このひとでいい。 このひとが、いい。(LAST LOVE) 信じられるものを、ぼくは創り出したかったんだろう。それは恋愛感情というあいまいなものでも、結婚という形式でもなくて、もっとささやかでちいさいもの。(おかえりな…

姫野カオルコ『受難』  ★★★

受難 姫野 カオルコ 「かなしむと怒るじゃない。かなしむということは、“自分の現状が自分にはふさわしくなくて、自分はもっと男に愛されるべき女なのだ、それなのになぜ愛されないのか”という心理の表れだから傲慢だ、って」 面白い面白くない以前の問題。…

有川浩他『Sweet Blue Age』  ★★★

Sweet Blue Age 有川 浩, 角田 光代, 坂木 司, 桜庭 一樹, 日向 蓬, 森見 登美彦, 三羽 省吾 私たちの、はじめて深く人を好きになった気分、どうしたって手に入らないものがあると知った戸惑い、言葉よりさらに馬鹿でかい感情の下手な処理、手に負えない自分…

有川浩『図書館戦争』  ★★★★☆

図書館戦争 有川 浩 「いい加減にしなさいよ、全部あんたが一番じゃないと気が済まないの!? 適所適材は貧乏軍隊の基本なのよ!」 「選ぶべきものを選ぶときに選び方を躊躇する奴は口先だけだ」 SFなのかなあ、と思いつつ恋愛小説のカテゴリに入れてしまっ…

野中柊『あなたのそばで』  ★★★

あなたのそばで 野中 柊 ただただ、私はこわかったのだ。無償といってもいいほどの愛情を注がれ与えられ続けることは、ときとして、愛して尽くして奪われて身も心もぼろぼろにされることよりも、よほど残酷なことではないかしら? と。(オニオングラタンス…

津原泰水『赤い竪琴』  ★★★☆

赤い竪琴 津原 泰水 俘囚のように、私はいわれるがまま動いた。夜の硝子に映った私と竪琴は、記憶のなかの残像のように、輪郭ばかり鮮やかだった。暗い鏡面は私の指と絃の衝突と別離を、ソラシドレミファソラシドレミを、二倍に拡げ、響かせた。脚がふるえた…

山田詠美『風味絶佳』  ★★★☆

風味絶佳 山田 詠美 食べること。セックスをすること。眠ること。彼のそれらの行為に、自分が、どの女よりも有効であるのを確認したかった。空腹を満たすことから、すべては始まる。私は、彼の始まりを独占しようとしていたのだ。(夕餉) 「大人が初恋やり…