Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2006-12-24から1日間の記事一覧

冲方丁『マルドゥック・ヴェロシティ 1』  ★★

SF

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 冲方 丁 「クリストファー教授と一緒に行けば、俺を受け入れてもらえるのか? 研究所の外に、そういう相手がいるのか? 俺を廃棄しようとする相手ばかりじゃなくて?」 「いよいよマルドゥック・スクランブル-09が本格実働…

桜庭一樹『少女七竈と七人の可愛そうな大人』  ★★

少女七竈と七人の可愛そうな大人 桜庭 一樹 「君がそんなに美しく生まれてしまったのは」 「ええ、ええ」 「母親がいんらんだったからだ」 「ええ……」 超自然的な理由にさせて。 これはけして。 遺伝では。 ないよ。 ベルカ? うぉん言うたびにベルカベルカ…

古処誠二『少年たちの密室』  ★★

少年たちの密室 古処 誠二 生徒の前を歩くか、後ろを歩くか――教師は、そのどちらかに分かれると、宮下は言った。 「前を歩くには『知力』が要るし、後ろを歩くには『腕力』が要る。――知力っていうのは、まあ平たく言えば、生徒に合わせて思考の速度と方向を…

太宰治『人間失格』  ★★☆

人間失格 太宰 治 「お父ちゃん。お祈りをすると、神様が、何でも下さるって、ほんとう?」 自分こそ、そのお祈りをしたいと思いました。 ああ、われに冷き意志を与え給え。われに、「人間」の本質を知らしめ給え。人が人を押しのけても、罪ならずや。われに…

横山秀夫『陰の季節』  ★★★☆

陰の季節 横山 秀夫 柘植は絨毯に額を近付けた。頬が火を吹く。こめかみで血流が波打つ。絨毯との数センチの間隙がプライドだった。それすらも捨てた。化繊の臭いにむせそうになった。心がその場から逃げた。蛇の目をした少年と守夫の顔が見えた。底からも逃…